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働く意味を語り合うことで、組織の関係性を結び直す「マイエンゲージメント pitchトーク」――社員80名を対象としたエンゲージメント向上研修

8月20日
読了時間: 9分

更新日:9月14日

エンゲージメント向上研修でマイクを持ち笑顔で話す女性


導入の成果と変化


参加者の発言を否定せず、同時に、表面的な言葉だけで終わらせない。具体的な経験に立ち返りながら、「なぜそう感じたのか」「そこには、どのような価値観があるのか」を丁寧に問い返すことで、対話を深めてくださいました。

研修後、社員同士が「さっきの話を、もう少し聞かせてほしい」と声をかけ合う姿も見られました。一度の研修で終わるのではなく、その後の関係性につながる言葉が生まれたことを、人事としてうれしく感じています。



導入した組織のプロフィール

案件名:マイエンゲージメント pitchトーク――働く意味は、語り合うことで見えてくる

学校:某企業 人事部

対象:社員80名

目的:働く意味の言語化、社員間の相互理解、組織へのエンゲージメントと心理的安全性の向上



ご担当者様から感想をお寄せいただきました


導入前の課題


私たちの会社では、社員一人ひとりが意欲を持って働き、それぞれの力を発揮できる組織づくりを目指してきました。

しかし、人事として社員の様子を見ている中で、次第に一つの課題を感じるようになりました。

会社の理念や事業の目的は共有していても、それが一人ひとりの経験や価値観と、必ずしも結びついていないのではないか。社員が「会社は何を目指しているのか」を知っていることと、「自分はなぜここで働いているのか」を実感していることの間には、少し距離があるのではないかと感じたのです。

日常業務では、どうしても目の前の課題への対応や、必要な情報の共有が中心になります。同じ会社で働いていても、異なる部署や職種の社員が、どのような思いで仕事に向き合っているのかを知る機会は、ほとんどありません。

また、同じ部署の中であっても、

「どんな瞬間に、この仕事をしていてよかったと感じたのか」

「何が、今も働き続ける力になっているのか」

「自分は、この仕事を通して何を大切にしたいのか」

といったことを、あらためて言葉にする機会は多くありませんでした。

エンゲージメント向上を目的とした施策は、制度の整備や職場環境の改善だけでは十分ではない。社員自身が、自分と仕事とのつながりを見つめ直し、それを仲間と共有する時間が必要なのではないか。

そのような問題意識から、社員80名を対象とした研修を企画しました。



選定の決め手とプログラム内容


上田祥子先生は、学校、教育委員会、企業、大学スポーツなど、多様な組織において、一人ひとりの経験や価値観を言葉にし、対話を通して人と組織の関係性を育てる実践に取り組んでいます。

私たちが特に魅力を感じたのは、上田先生の「pitchトーク」でした。

pitchトークでは、一人が90秒で、自分の具体的な経験や思いを語ります。その後、聞き手が、共感したことや印象に残った言葉、さらに聞いてみたいことを返します。

一般的なプレゼンテーション研修のように、話し方の上手さや説明の分かりやすさを競うものではありません。

その人にしか語れない経験を持ち寄り、互いに受け止め、問い返す。その対話を通して、自分一人では気づかなかった意味や価値を見いだしていく取り組みです。

人事が社員に対して「仕事の意味を考えてください」と伝えるだけでは、ともすれば会社が望む答えを求める研修になってしまいます。

私たちが求めていたのは、会社への忠誠心を高めるための研修ではなく、一人ひとりが自分の経験を起点に、自分と仕事との関係を捉え直す機会でした。

上田先生であれば、参加者に特定の価値観を押しつけるのではなく、社員の中にすでにある言葉を引き出し、それを組織の中に循環させる場をつくってくださるのではないか。そう考え、研修を依頼しました。


研修のテーマは、

「マイエンゲージメント pitchトーク――働く意味は、語り合うことで見えてくる」

です。

はじめに上田先生から、「言葉の力」に関するレクチャー、そして、エンゲージメントを、単なる会社への満足度や帰属意識としてではなく、「自分の仕事と、自分自身の価値観や人生との間に、どのようなつながりを感じているか」という視点から捉えるお話がありました。

そのうえで、参加者は少人数のグループに分かれ、次のような問いから、自分が語りたいものを選びました。


* なぜ、自分はこの仕事を続けているのか

* どんな瞬間に、この仕事をしていてよかったと感じたのか

* どのような経験が、自分にとっての「働く意味」につながっているのか

* 自分は、この仕事を通して、誰にどのような価値を届けたいのか


上田先生からは、最初に次のことが伝えられました。

「ここは、“正しい答え”や“立派な理念”を語る場所ではありません。皆さん自身の経験を語る場所です」

参加者は、自分の中にある具体的な場面を思い起こしながら、90秒でpitchを行いました。

その後、聞き手は、評価や助言をするのではなく、共感したこと、心に残った言葉、さらに聞いてみたいことを返しました。話し手の言葉をまず受け止め、問い返しを通して、その経験の奥にある価値観を一緒に探っていきました。

「働く意味」という抽象的なテーマを、企業理念や一般論だけで語るのではなく、一人ひとりの具体的な経験から捉え直すこと。そして、一人で答えを出すのではなく、他者との対話を通して、自分の言葉を深めていくことが、この研修の大きな特徴でした。



研修の中で語られたこと


社員から語られたのは、目立った実績や大きな成功体験ばかりではありませんでした。

お客様からかけられた、何気ない感謝の言葉。自分の提案が誰かの役に立ったと実感した瞬間。仕事に迷っていたとき、先輩や同僚に支えてもらった経験。仲間と一緒に、困難な仕事を乗り越えた出来事。

普段の業務の中では見過ごしてしまうような小さな経験が、その人にとっての「働く意味」として語られていきました。

中には、90秒で話し始めた時点では、自分が何を伝えたいのか、まだ十分に整理できていない参加者もいました。

しかし、聞き手から、

「そのとき、なぜそんなにうれしかったのですか」

「その経験は、今の仕事にどうつながっていますか」

「あなたが大切にしているのは、こういうことなのではありませんか」

と問いを返されることで、自分の中にあった思いが、少しずつ言葉になっていきました。

話している本人が、自分の言葉に驚くような場面もありました。

「自分は、成果を出したことよりも、誰かが前に進むきっかけをつくれたことに喜びを感じていたのだと思います」

そのように語った社員の言葉からは、本人もそれまで明確には意識していなかった仕事観が見えてきました。

また、聞き手にとっても、同僚の語りは新しい発見になりました。

「いつも、そこまで考えて仕事をしていたのですね」

「その経験が、今の仕事への姿勢につながっていたことを初めて知りました」

「違う部署ですが、大切にしていることは意外と近いと感じました」

同じ会社で働いていても、業務上の役割しか知らなかった相手が、固有の経験や願いを持つ「一人の働く人」として見え始めていました。



導入後の効果と変化


それぞれの社員が自分の経験から仕事の意味を語り、仲間の言葉を聞くことで、組織との関係を自分自身の言葉で結び直していました。

人事担当者として特に印象的だったのは、研修が進むにつれて、参加者の表情や聞き方が変化していったことです。

開始当初は、「何を話せばよいのだろう」「うまくまとめなければならない」と緊張していた参加者もいました。しかし、語られた経験が否定されず、聞き手から共感や問いを返される中で、次第に安心して自分の言葉を差し出すようになっていきました。

管理職も若手社員も、異なる部署や職種の社員も、その時間は「役職」や「肩書き」ではなく、一人の働く人として語り、聴き合っていました。

研修後には、参加者から次のような感想が寄せられました。


* 自分がなぜこの仕事を続けているのか、初めて立ち止まって考えることができた

* 普段は仕事の話しかしていない同僚にも、さまざまな経験や思いがあることを知った

* 自分の仕事が、会社の中でどのような役割を持っているのかを捉え直すことができた

* うまく話せなくても、受け止めてもらえることで安心して言葉にできた

* 他部署の社員の話を聞き、会社全体の仕事がつながっていると感じた

* こうした対話を一度きりの研修ではなく、日常の中でも続けていきたい


人事が会社の魅力や仕事の意義を説明するだけでは、社員一人ひとりの中にある「働く意味」までは見えてきません。

今回の研修では、それぞれの社員が自分の経験から仕事の意味を語り、仲間の言葉を聞くことで、組織との関係を自分自身の言葉で結び直していました。


今回の研修を通して、私たちは、エンゲージメントに対する捉え方そのものを見直すことになりました。

これまでは、エンゲージメントを高めるために、会社から社員へ何を提供するかという視点を中心に考えていました。

しかし、上田先生の研修を通して、エンゲージメントとは、外側から与えられるだけのものではなく、一人ひとりが自分の仕事の意味を言葉にし、それを他者と分かち合う中で、内側から育っていくものでもあると感じました。

また、上田先生は、講師として一方的に答えを示すのではなく、社員一人ひとりの中にある経験や思いを引き出し、それぞれの言葉が組織の中を巡るように場を設計してくださいました。

参加者の発言を否定せず、同時に、表面的な言葉だけで終わらせない。具体的な経験に立ち返りながら、「なぜそう感じたのか」「そこには、どのような価値観があるのか」を丁寧に問い返すことで、対話を深めてくださいました。

研修後、社員同士が「さっきの話を、もう少し聞かせてほしい」と声をかけ合う姿も見られました。一度の研修で終わるのではなく、その後の関係性につながる言葉が生まれたことを、人事としてうれしく感じています。



今後の展望


――「人材育成」を超えて、“語る組織づくり”へ


今回の実践を通して、〈語る文化〉は、エンゲージメントの向上だけでなく、組織の健全性にも深く関わっていると感じました。

組織の機能不全は、ときに「言葉の不在」から始まります。

「少しおかしいのではないか」

「本当にこのままでよいのか」

そうした小さな違和感が言葉にならず、沈黙の中に埋もれていく。組織がその状態に慣れてしまえば、問題に気づき、立ち止まり、軌道修正することが難しくなります。


心理的安全性とは、単に人間関係が良好であることではありません。完成された意見や正しい答えだけでなく、迷いや違和感を含んだ「未完成な言葉を差し出しても、関係が壊れない」と感じられることではないでしょうか。

その意味でも、自分の経験や考えを言葉にし、それを互いに受け止めるpitchトークには、大きな可能性があります。

一人が自分の経験を語り、誰かがその言葉を受け止める。その小さな循環を積み重ねることが、互いへの理解を深め、必要なことを率直に言葉にできる組織の土壌をつくります。


今後は、今回の研修を一度きりの取り組みで終わらせず、社員同士が仕事の意味や価値観を語り合う機会を、日常の中にも取り入れていきたいと考えています。

社員一人ひとりの中にある経験と言葉を、組織全体の力へと変えていく。そのための第一歩となる研修でした。




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